0018_特定技能の「受入れ上限」はその後どうなった?最新の分野別充足率から見る2026年秋の現在地


第8回から約5カ月。分野別の充足率はどう動いた?

特定技能制度は、生産性向上や国内人材確保のための取組を行っても、なお人材確保が困難な産業分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる制度です。現在、特定技能1号は19分野が対象となっています。
第8回の記事では、当時公表されていた2025年12月末時点の数字をもとに、受入れ見込数に対する充足率が高い分野を確認しました。
その後、数字はどう動いたのでしょうか。

主な分野の充足率の推移

分野2025年12月末
( 第8回掲載時 )
2026年7月末 最新値変化
外食業82.8%98.6%+15.8ポイント
飲食料品製造業67.2%76.3%約+9ポイント
建設61.7%68.9%+7.2ポイント
介護50.3%64.2%+13.9ポイント

こうして並べると、注目している各分野で受入れが進んでいることが分かります。


外食業は98.6% 第4回で取り上げた「受入れ停止」のその後

外食業の充足率は、2025年12月末時点の82.8%から、2026年7月末時点では98.6%になりました。
「在留資格認定証明書交付一時停止措置中」になります。

LeAFでは第4回のコラムで、外食業における特定技能1号の受入れ停止措置について詳しく取り上げました。
では、その後はどうなったのでしょうか。

出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」によると、2026年10月19日掲載時点では、在留資格変更許可申請を優先して処理しながら、毎月の在留者数を踏まえ、在留資格認定証明書を交付できる場合に受付日順で順次交付する運用となっています。

在留資格認定証明書交付申請については、同日時点で2026年2月6日までに受け付けた申請が交付対象となっています。
また、2026年4月13日の一時的な交付停止措置開始日以降に受理された申請については、原則として不交付とされています。
なお、外食業の特定技能1号の受入れ見込数は、2029年3月末までで5万人とされています。
第4回で取り上げた受入れ停止は一時的なニュースで終わったわけではなく、その後も在留者数を踏まえながら、申請の処理・運用が続いています。


介護は「もう半分」から64.2%へ

今回の追跡でもう一つ注目したいのが、介護分野です。
第8回では、介護の充足率が50.3%となったことを受け、「まだ半分」ではなく「もう半分」という視点で取り上げました。

その後、2026年7月末時点の充足率は64.2%となっています。
そして今回、数字だけではない動きがありました。

2026年10月19日に開催された
第15回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議
では、
「介護分野における特定技能1号・育成就労の受入れ見込数の配分変更(案)」
が議題となっています。

公表された案では、介護分野全体の受入れ見込数16万700人は変えず、特定技能1号と育成就労の配分を次のように変更することが示されています。

区分現行の配分“現時点”での配分見直し案増減
特定技能1号126,900人146,900人+20,000人
育成就労33,800人13,800人▲20,000人
合計160,700人160,700人変更なし

なぜ、このような案が出ているのでしょうか。
厚生労働省の有識者会議資料によると、2026年6月末時点で介護分野の特定技能1号外国人は79,884人となっており、受入れ見込数を設定した時点の想定を上回るペースで増加しています。
現行の配分のままでは、2027年度後半に特定技能1号の受入れ見込数126,900人を超える可能性があるとされています。

さらに興味深いのが、受入れ企業側のニーズです。
同資料では、受入れ企業へのヒアリングを踏まえ、即戦力として活躍できる特定技能外国人への需要が当初の想定より高いことが示されています。

第8回で数字に注目した介護分野では、その後の受入れ拡大によって、制度上の配分まで見直しが検討される段階に入ったわけです。
ただし、今回示されているのは、あくまで配分変更案です。
実際の制度運用については、今後の正式な決定や最新の公表情報を確認する必要があります。


飲食料品製造業と建設も受入れが進んでいる

介護以外では、飲食料品製造業と建設も確認しておきたいところです。

飲食料品製造業は、第8回掲載時の67.2%から、2026年7月末時点では76%を超えました。
建設も61.7%から68.9%となっています。
外食業の98.6%ほど目立つ数字ではありません。

しかし、継続的に特定技能外国人を採用する企業にとっては、現在の数字だけで「まだ余裕がある」と判断するのではなく、その推移を見ておくことが重要です。
例えば、次のような情報は定期的に確認しておきたいところです。

  • 自社分野の特定技能外国人在留者数
  • 受入れ見込数
  • 受入れ見込数に対する充足状況
  • 分野別運用方針や運用要領の変更
  • 在留資格申請に関する最新の取扱い

実際、出入国在留管理庁の特定技能制度ページでは、2026年10月だけでも、分野別の運用要領や申請関係情報など複数の更新が公表されています。


「充足率が高い=すぐ受入れ停止」とは限らない

ここで、一つ注意しておきたい点があります。
充足率が70%、80%になったからといって、

「この分野もすぐに受入れが止まる」

と判断することはできません。
今回の介護分野の動きは、そのことを考えるうえでも分かりやすい事例です。
特定技能1号の在留者数が想定以上のペースで増加したことを受け、介護分野では受入れ見込数全体を増やすのではなく、特定技能1号と育成就労との間で配分を変更する案が示されています。

一方、外食業では、5万人という受入れ見込数を踏まえ、在留資格認定証明書交付の一時停止措置が実施されています。
つまり、企業が確認すべきなのは「充足率」という一つの数字だけではありません。

在留者数がどう推移しているのか。
そして、その状況を受けて行政がどのような制度運用を行っているのか。

この二つを併せて見る必要があります。


半年に一度は「自社分野の現在地」を確認したい

特定技能制度は、一度理解すれば終わりという制度ではありません。
今回、第8回の記事から約5カ月後の状況を振り返ると、外食業だけでなく、介護、飲食料品製造業、建設でも数字が動いていました。

特に介護分野では、在留者数の増加を受けて、特定技能1号と育成就労の受入れ見込数の配分を見直す案まで議論されています。

外国人材の採用計画を立てる際には、
「自社の業務が特定技能の対象になっているか」
だけではなく、
「その分野では現在どのくらい受入れが進み、制度運用がどのように変化しているのか」
まで確認しておくことが大切です。

半年に一度程度でも定点観測を続ければ、採用時期や採用ルート、今後必要となる人材数を見直すきっかけになります。
外国人材の採用は、募集を始めた時点だけで考えるものではありません。
制度と市場の変化を確認しながら、半年後、一年後を見据えて採用計画を更新していくことが重要です。

株式会社LeAFでは、特定技能外国人の採用支援だけでなく、分野ごとの制度運用や受入れ体制を踏まえた外国人材の採用計画についてもご相談を承っています。

「自社の分野は今どうなっているのか」「今後の採用はいつ、どのように進めればよいのか」といった疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。


FAQ

Q1.特定技能の「受入れ見込数」とは何ですか?

特定技能制度では、対象となる産業分野について一定期間の受入れ見込数(2026年7月末時点:速報値)が設定されています。
現在、特定技能1号の対象となる特定産業分野は19分野(2026年11月5日時点)です。
企業が採用を検討する際は、この受入れ見込数だけを見るのではなく、実際の在留者数や分野ごとの最新の制度運用も併せて確認することが重要です。

Q2.充足率が100%に近づくと、必ず受入れが停止されますか?

充足率だけから、受入れ停止の時期や実施の有無を判断することはできません。
外食業では在留資格認定証明書交付の一時停止措置が実施されていますが、介護分野では特定技能1号と育成就労との受入れ見込数の配分を変更する案が示されています。
分野ごとの最新の運用情報を確認することが大切です。

Q3.外食業の特定技能1号は現在どうなっていますか?

2026年4月13日から、外食業分野では在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置が実施されています。
2026年10月19日時点では、毎月の在留者数を踏まえ、交付可能な場合に受付日順で順次交付する運用となっています。
在留資格変更や在留期間更新などは取扱いが異なるため、個別に最新情報を確認する必要があります。

Q4.最新の受入れ状況はどこで確認できますか?

出入国在留管理庁の特定技能制度ページでは、分野ごとの受入れ見込数や在留者数、制度の更新情報などが公表されています。
また、JITCO様では、受入れ見込数と在留者数から算出した分野別の充足率を一覧で確認できます。


まとめ

免責
※本記事は執筆時点で公表されている法令、制度、行政機関等の情報をもとに作成しています。制度内容や運用は変更される場合がありますので、最新情報は出入国在留管理庁、厚生労働省その他関係機関の公表情報をご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件に対する法的助言、行政手続きの代理、その他専門的判断を提供するものではありません。実際の手続きや制度運用にあたっては、行政書士、社会保険労務士その他の専門家へご相談ください。