はじめに
特定技能制度は、企業・支援機関・外国人本人それぞれにとって重要な制度ですが、実務の中では「これってどうすればいいの?」という疑問が頻繁に発生します。
この記事では、特定技能に関するよくある質問をQ&A形式でまとめ、制度の基本から現場での対応までを丁寧に解説します。
実務担当者がすぐに使える情報を中心に構成しています。
特定技能Q&A(全30問)
【制度の基本】
Q1. 特定技能とはどんな在留資格ですか?
特定技能は、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、即戦力として働くための在留資格です。
2019年に創設され、現在は「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。
Q2. 特定技能1号と2号の違いは?
1号は最大5年の在留が可能で、家族の帯同は不可。
2号は更新の回数制限がなく、実質的に永住が可能で、配偶者や子の帯同も認められています。
2号に移行するためには熟練した技能を持っていることを証明するために、分野ごとの評価試験に合格しなければなりません。また、指導や管理的な業務経験も必要とされます。
Q3. 特定技能で働ける分野は?
現在、16分野が対象です(例:介護、外食、建設、農業、宿泊など)。
分野ごとに試験や要件が異なります。
Q4. 技能実習と特定技能の違いは?
技能実習は「技術・技能または知識の移転」が目的で、国際貢献と教育的要素が強い制度。
一方、特定技能は「労働力確保」が目的で、即戦力としての就労が前提です。
Q5. 特定技能外国人の採用に試験は必要?
はい。
原則として、技能試験と日本語試験(JLPT N4相当)に合格する必要があります。
ただし、同分野で技能実習2号を修了している場合は試験が免除されることがあります。
【採用・雇用】
Q6. 特定技能外国人の採用方法にはどんな種類がありますか?
主に以下の4つのルートがあります:
〇自社の技能実習2号修了者を採用
〇他社の同分野の技能実習2号修了者を採用
〇国内外の特定技能試験(技能試験、日本語試験)の合格者を採用
〇同分野の特定技能外国人の転職者を採用
Q7. 就労開始までのステップは?
国内外の2通りで大まかな流れをご紹介します。
〇国内在留外国人
1.試験合格または技能実習2号を修了
2.雇用契約締結
3.支援計画策定
4.在留資格変更許可申請
5.在留資格変更
6.引っ越し&就労
〇海外在住外国人
1.試験合格または技能実習2号を修了
2.雇用契約締結
3.支援計画策定
4.在留資格認定証明書申請
5.査証(ビザ)申請
6.入国&就労
Q8. 採用にかかる期間はどれくらい?
海外採用の場合は2〜8か月程度、国内採用は1〜4か月程度が目安です。
Q9. 採用にかかる費用は?
国内外での在留状況にも因りますが、ここでは海外から入国するケースを想定して回答します。
| 項目 | 内容 | 費用概算 |
| 採用関連 | 人材紹介・送り出し機関に支払う費用 | 40~100万円 |
| 申請手続き | 書類作成全般、行政書士や登録支援機関に支払う費用 | 10~20万円 |
| 任意支援 | 航空券等移動費用、住居関連費用 | 0~60万円 |
第9回:登録支援機関の費用とサービスの概略|企業が知っておきたい情報
Q10. 特定技能外国人の給与はどう設定すればいい?
日本人と同等以上の水準である必要があります。
最低賃金や同一労働同一賃金の原則が適用されます。
日本人の中途採用と同じように考えると良いでしょう。
【支援・登録支援機関】
Q11. 登録支援機関とは?
企業に代わって、特定技能外国人への支援計画を実施する機関です。
出入国在留管理庁に登録されています。
出入国在留管理庁 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
Q12. 登録支援機関の利用は必須?
企業が自社で支援を行える条件を満たしていれば不要ですが、満たさない場合は委託が必要です。
義務的支援を自社で行うのはとても難しく、中小零細企業であれば、登録支援機関の利用が良いでしょう。支援10項目は以下を参照してください。
第5回:登録支援機関とは?選び方と活用のポイント
Q13. 登録支援機関の支援内容は?
生活ガイダンス、空港送迎、住居確保、口座開設、行政手続き同行、日本語教育、定期面談などが含まれます。
第5回:登録支援機関とは?選び方と活用のポイント
出入国在留管理庁 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
Q14. 支援費用の相場は?
月額1人15,000〜40,000円が一般的です。
初期費用や追加費用が発生する場合もあります。
Q15. 支援内容は機関ごとに違う?
義務的支援は共通ですが、任意的支援(移動支援、引っ越し対応、退職保証、通訳対応など)は機関ごとに異なります。
【在留資格・更新・転職】
Q16. 特定技能1号の在留期間は?
最長5年です。
1年ごと、6か月ごと、または4か月ごとの更新が必要です。
期間満了の3か月前から申請が可能です。
Q17. 特定技能2号への移行はどうやるの?
所定の技能試験に合格し、在留資格変更申請を行います。
Q18. 転職は可能?
同一分野内であれば可能です。
制度上可能ですが一定条件をクリアする必要があります。
退職する会社も受け入れる会社もそれぞれに手続きが必要です。
Q19. 離職した場合の対応は?
原則として、次の就職先が決まるまで一定期間の猶予があります。
登録支援機関と連携して対応します。
Q20. 在留資格の更新手続きは?
雇用契約の継続、支援計画の実施状況などを確認し、出入国在留管理庁に申請します。
1号:1年、6か月または4か月ごとの更新。最長5年。
2号:3年、1年または6か月ごとの更新。更新の上限なし。
【実務・運用・トラブル対応】
Q21. 日本語が通じない場合の対応は?
登録支援機関が母国語対応を行うことが多いです。
社内に通訳や多言語対応者がいると安心です。
Q22. 社会保険の加入は必要?
はい。
日本人と同様に、健康保険・厚生年金・雇用保険などへの加入が必要です。
Q23. 労働時間や休日の設定は?
労働基準法が適用されます。
日本人と同様の労働条件を設定する必要があります。
Q24. 住居は企業が用意する必要がある?
海外採用の場合は住居確保が求められますが、費用を負担するのは任意です。
国内採用は引越しの対応や費用負担等を考慮すると良いですが、任意になります。
Q25. トラブルが起きた場合の相談先は?
登録支援機関、出入国在留管理庁、外国人在留支援センターなどが相談窓口になります。
Q26. 特定技能外国人の退職後の対応は?
転職と帰国で対応は違いますが、在留資格の変更や帰国支援等が必要になります。
登録支援機関と連携して対応します。
Q27. 特定技能外国人の教育支援は必要?
義務的支援10項目にも明記されており、必須です。
(以下抜粋)
日本語学習の機会の提供:
日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等
Q28. 採用後の報告義務はある?
はい。
受入れ後、所属機関(受け入れ企業)や登録支援機関は四半期に一度入管に対し受入状況や支援実施状況の届出を行っていただく必要があるほか、雇用契約に変更等があった場合も届出をする必要がありますので、注意してください。
Q29. 家族の帯同は可能?
特定技能1号は不可。
2号では配偶者・子の帯同が認められています。
Q30. 最新情報はどこで確認できます
法務省、厚生労働省、出入国在留管理庁、JITCOなどの公式サイトが信頼性の高い情報源です。
登録支援機関を利用する場合、登録支援機関がリードしてくれます。
まとめ
特定技能は登録支援機関の利用がおすすめ!
取り返しのつかないミスを犯す前に信頼できる登録支援機関をみつけましょう!
お気軽にご相談ください!