はじめに
外国人技能実習制度は、日本の中小企業が人材不足を補う手段として注目されている制度です。
国際貢献と企業の人材確保を両立できる仕組みで、技能実習法に基づいて運用されています。
受け入れには初期費用や継続的な月額費用が発生するため、事前にコスト構造を理解しておくことが重要です。
本記事では、2025年時点での最新情報をもとに、費用の内訳や削減ポイント、成功事例まで詳しく解説します。
監理団体により表現が微妙に違ったり、組織規模や地域による金額の違いもあります。
また、金額は目安としてご覧ください。
初期費用(受入前に必要な費用)
外国人技能実習生を受け入れる際には、以下のような初期費用が発生します。金額は1人あたりの目安です。
項目 | 内容 | 金額の目安 |
監理団体 入会金 | 団体監理型の場合、受け入れ企業は監理団体に加入する必要があります。 | 50,000〜100,000円 |
監理団体 年(月)会費 | 年一回か月払い。 加入期間中発生。 | 10,000〜240,000円 |
書類作成費用等 | 技能実習計画書等の作成や入国に関する書類作成と申請に掛かる費用。 人毎に発生。 | 100,000〜150,000円 |
現地教育費・健康診断等 | 現地での日本語や生活習慣等の教育費用や健康診断費用。 人毎に発生。 | 100,000~300,000円 |
渡航費 | 実習生の航空券代等移動費の実費。 人毎に発生。 | 50,000〜150,000円 |
入国後費用 | 日本語・生活習慣等講習費用や手当。 入国~企業へ移動までの約1ヶ月間。 人毎に発生。 | 100,000〜200,000円 |
寮の準備費用 | 家具・家電・生活用品などの初期整備。自社で準備する場合はコストを抑えられる。 | 50,000〜100,000円 |
月額費用(受入後に継続的に発生する費用)
項目 | 内容 | 金額の目安 |
給与 | 地域の最低賃金以上を支払う必要があります。例:東京都の場合、2025年時点で約1,150円/時。 | 190,000〜300,000円 |
社会保険料 | 健康保険・厚生年金・雇用保険など。企業負担分を含む。 | 30,000〜50,000円 |
寮費補助 | 実習生の住居費用の一部の企業負担。 | 10,000〜50,000円/人 |
監理費 | 監理団体への月額支払い。団体によって差がある。 | 20,000〜60,000円/人 |
その他考慮すべき費用
その他費用 | 内容 | 金額の目安 |
---|---|---|
特別教育(講習) | 業種や職種により必要な教育(講習) | 教育事項による。 |
現地面接費用 | オンライン面談に寄らず現地で直接面接 | 渡航費・滞在費等の実費。通訳やアテンド費用も考慮。 |
技能検定費用 | 1号、2号、3号の各期間中に受験 | 10,000〜30,000円/人 |
技能実習責任者講習 | 実習生を受け入れる企業は技能実習責任者の設置が必要。実習責任者は講習を受講。受講は3年に1度必要。 | 10,000〜20,000円/人 |
コスト削減のポイント
中小企業が技能実習制度を活用する際、以下のような工夫でコストを抑えることが可能です。
- 複数名同時受け入れ
初期費用(講習費・寮準備費など)を分散でき、効率的な運用が可能。 - 自社で講習を実施
外部委託せず、社内で日本語や安全教育を行うことで講習費を削減。 - 寮を社宅化・空き物件活用
自社所有の空き物件や倉庫を改装することで、家賃負担を軽減。 - 監理団体の比較検討
監理費やサポート内容に差があるため、複数団体を比較することでコストパフォーマンスを向上。 - 優良な監理団体を選択
優良な監理団体は優秀な実習生と縁をつないでくれます。企業は愛情ある教育指導でトラブルを未然に防止してください。
費用を抑えつつ定着率を高めた企業事例
事例:東京都内の製造業A社(従業員30名)
- 初期費用を40万円/人に抑え、3名同時受け入れ。
- 社内に日本語講師を配置し、講習費を削減。
- 寮を自社物件の一部に改装し、家賃ゼロ。
- 定着率95%、3年間の技能実習を完了後、特定技能へ移行。
- 実習生の満足度も高く、母国からの紹介で次期実習生の採用もスムーズに。
まとめ
外国人技能実習制度の受け入れには、初期費用・月額費用ともに一定のコストが掛かりますが、適切な準備と運用により、企業にとって有益な人材育成・確保の手段となります。
・初期費用は、監理団体への加入、申請手続き、渡航・講習・住居準備などで、1人あたり約30万〜60万円が目安。
・月額費用は、給与・社会保険・寮費・監理費などで、1人あたり約25万〜40万円程度。
・その他費用として、特別教育、現地面接、試験費用、トラブル対応費なども考慮が必要。
コスト削減の工夫として、複数名受入による効率化や監理団体の比較検討が有効ですが、一番は優良な監理団体と適正な実習をすることで不要なコストの発生を未然に防ぐことと、技能実習が修了した後の次の在留資格での継続的な雇用を実現することで、長期的な費用効果が発現するのではないかと考えます。
制度の理解を深め、信頼できる監理団体と連携することで、実習生と企業双方にとって有意義な受け入れが可能となります。
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