第4回|外国人技能実習制度の受け入れ職種一覧と注意点・将来性

はじめに:どんな職種があるのか?

外国人技能実習制度は、日本の技術・技能・知識を開発途上国の人材に移転することを目的とした制度です。中小企業にとっては、慢性的な人手不足を補う手段としても注目されています。
2025年現在、技能実習制度で受け入れ可能な職種は91職種168作業にのぼります 。
これらは「移行対象職種」と呼ばれ、技能実習1号から3号まで段階的に移行できる職種です。主な分野は以下の通りです。

当社が考える業種・職種別注意点と将来性(2025年3月7日時点資料参照)

外国人技能実習制度と特定技能の違い

技能実習制度と混同されがちなのが「特定技能制度」です。
両者は目的も運用も異なるため、企業が制度を選択する際には違いを理解しておく必要があります。
特定技能に関しては別の機会で掲載しますが、こちらの項でもサラッと触れておきます。

比較項目技能実習制度特定技能制度
制度の目的技術移転人材確保
業種の数91業種(農業・建設・食品製造など)16分野(介護・外食・宿泊・建設等)
職種の特徴細かく決まっていて、「この作業だけを学ぶ」というスタイル幅広く働ける。「接客も調理も掃除もOK」など柔軟
仕事の内容技術を学ぶための仕事が中心で単純作業はNG実際の現場で働くための仕事。単純作業も一部OK
例:外食業技能実習では対象外調理・接客・清掃など幅広く働ける
例:介護業介護技術を学ぶことが目的介護職員として働くことが目的
例:建設業型枠施工、鉄筋組立など細かく分類現場作業全般に対応できる

技能実習制度は「教育的要素」が強く、企業は実習計画を作成し、監理団体の指導のもとで運用します。
一方、特定技能は「労働者」としての受け入れであり、即戦力を求める企業に適しています。

技能実習制度の運用上の共通注意点

制度を活用する際には、以下のような注意点を押さえておく必要があります。

1. 実習計画の作成と審査

技能実習制度では、企業が「技能実習計画」を作成し、監理団体を通じて外国人技能実習機構(OTIT)に提出します。計画には、実習内容・指導体制・評価方法などを明記する必要があります。

  • 審査基準は職種ごとに異なる
  • 実習内容が単純作業に偏ると不認可の可能性あり
  • 実習指導員の配置が必須

2. 日本語能力とコミュニケーション

職場での円滑なコミュニケーションには、日本語能力が不可欠です。特に介護や接客業では、一定の日本語レベル(N4以上)が求められます。

  • 送り出し機関での事前教育の質が重要
  • 現場でのOJTと並行して日本語学習支援が望ましい

3. 生活支援と定着支援

実習生は異文化の中で生活するため、企業側の生活支援が定着率に大きく影響します。

  • 住居の確保と生活ルールの説明
  • メンタルケアや相談窓口の設置
  • 地域との交流機会の提供

4. 労働法令の遵守

技能実習生も労働者としての権利を有しており、労働基準法や最低賃金法などの法令を遵守する必要があります。

  • 時間外労働・休日労働の管理
  • 賃金の適正支払い(手取り額の明示)
  • ハラスメント防止対策

5. 監理団体との連携

監理団体は制度運用の要であり、企業と送り出し機関の間に立って調整を行います。

  • 定期的な実習状況の報告
  • 実習生との面談・相談対応
  • トラブル発生時の対応支援

まとめ:制度の理解が安定した受け入れにつながる