
はじめに
「やっと採用できたのに、1年もしないうちに辞めてしまった。」
外国人材を受け入れている企業から、このような相談を受けることがあります。
人手不足が深刻化する中、特定技能や技能実習などを活用して外国人材を採用する企業は増えています。
しかし、採用できたことと定着することは別の話です。
実際には、同じような条件で採用していても、長く活躍する外国人材が多い企業と、短期間で離職が続く企業があります。
その差はどこにあるのでしょうか。
今回は、外国人材の定着という視点から、企業が見直したいポイントについて考えてみたいと思います。
採用はできる。でも定着しない企業が増えている!?
少し前までは、「外国人材を採用できるか」が大きな課題でした。
近年では、「採用できても続かない」というお悩みも耳にします。
特に特定技能制度では、一定の条件を満たせば転職も可能なので困る企業が増えています。
つまり企業は、 “採用競争” だけでなく、 “定着・維持” にも向き合う必要が出てきています。
これは日本人採用にも同じことが言えます。
若手の日本人が給与だけで職場を選ばないように、外国人材も給与だけで働き続けるわけではありません。
・人間関係
・職場環境
・将来の見通し
・働きやすさ
こうした要素が定着に大きく影響します。
外国人材が辞める理由を「外国人だから」で片付けない
離職が発生すると、
「外国人だから仕方ない」
「最近の若者は続かない」
という声を聞くことがあります。
しかし実際には、国籍が離職理由になっているケースはそれほど多くありません。
むしろ問題になるのは、 “職場側との認識のズレ” です。
外国人材を採用されている企業の多くは、「なんでも相談してほしい」と思っています。
しかし外国人社員にお聞きすると、
「忙しそうだから話しかけてはいけない」
「相談が評価に影響すると困る」
「日本語で上手く相談できない」
といったことを思われて相談できない方がいらっしゃいます。
また、企業側は、「きちんと説明した」と思っていても、外国人社員は半分も理解できないことがよくあります。
こうした小さなズレが積み重なり、やがて離職につながることもあるでしょう。
何が自社の問題なのかを調査・検証してみましょう。
3年以上活躍する会社に共通すること
定着に成功している企業を見ると、必ずしも特別な仕組みがあるわけではありません。
むしろ当たり前のことを丁寧に行っていることが多いでしょう。
入社前から受入れ準備をしている
定着する会社は、採用をゴールにしていません。
・住居は整っているか
・生活ルールは整備されているか
・職場ルールは伝わるように工夫されているか
・緊急時は誰が対応するのか
・業務や日本語の向上に力を入れているか
こうした準備を入社前から社員を巻き込んで進めています。
準備不足のまま入社すると、本人はもちろん現場も混乱します。
最初の1か月で感じる不安は、その後の定着に大きく影響します。
定期的に話を聞いている
離職する人の多くは、辞める前からサインを出しています。
ただ、そのサインをなかなか気付けないこともありますよね。
定着に成功している企業では、定期面談やオフタイムの何かしらのコミュニケーション機会で、
・困っていること
・職場への不満
・将来の希望
を確認しています。
形骸化された面談を行っているだけでは何も生みません。
大切なのは面談等の頻度よりも、「話を聞く文化」があるかどうかです。
日本語教育をコストではなく投資と考えている
外国人材の教育というと、技能教育ばかりに目が向きがちです。
しかし現場で意外と大きいのが日本語力です。
日本語が理解できるようになると、仕事の指示が伝わりやすくなるだけではありません。
・同僚との会話が増えます
・地域との関わりも広がります
・結果として孤立しにくくなります
定着に成功している企業ほど、日本語教育を単なるコストではなく、長期活躍への投資として考えています。
将来の話をしている
外国人材も、自分の将来を考えています。
来年はどうなるのか。
3年後、5年後はどうなれるのか。
キャリアが見えない職場では不安が大きくなります。
一方で、
・資格取得の支援
・リーダー候補への育成
・特定技能2号への挑戦
などの話ができる企業では、長期的なモチベーションにつながりやすくなります。
これは日本人社員の定着にも大いに役立つ仕組みになり得ます。
本当に重要なのは「受入れ体制」の整備
外国人材採用の相談を受けていると、企業が採用方法について悩む場面は多くあります。
しかし実際には、採用方法以上に重要なのが受入れ体制です。
・どの国から採用するか
・どの制度を使うか
こういったことは、もちろん重要ですが、その前に考えるべきなのは、「入社した後、安心して働ける環境があるか」ということです。
採用が成功しても定着しなければ、人材不足は解決しません。
逆に受入れ体制が整っていれば、長く活躍してもらえる可能性は高まります。
LeAFが考える定着支援
外国人材採用は、人を紹介して終わる話ではありません。
企業と外国人材の双方が安心して働ける環境をつくることが大切です。
そのためには、
・全社的な制度理解
・受入れ準備
・現場教育体制の構築
・日本語教育の重要性理解
・生活支援
・定期フォロー
などを継続して行う必要があります。
外国人材の定着は、特別なことをするのではなく、「当たり前のコミュニケーションを丁寧に続けること」から始まるのではないでしょうか。
よくある質問
Q. 外国人材は日本人より離職しやすいのでしょうか?
一概には言えません。
離職の背景には賃金や職場環境、人間関係、将来への不安など様々な要因があります。
外国人材だから離職しやすいのではなく、受入れ体制やコミュニケーションが影響している場合も多くあります。
Q. 特定技能外国人は転職できますか?
在留資格等、一定条件のもとで転職が認められます。
制度運用は変更される可能性もあるため、最新情報は出入国在留管理庁等の公表情報をご確認ください。
Q. 定着率を高めるために最も重要なことは何ですか?
企業によって事情は異なりますが、日々のコミュニケーションと受入れ体制の整備は重要な要素と考えられます。
Q. 日本語教育は本当に必要ですか?
業務理解だけでなく、職場での人間関係や地域生活にも影響するため、多くの企業で重要な取り組みの一つとされています。
日本語の水準アップで地域に溶け込み、生活しやすい環境を得やすくなり、ひいては離職防止を促す一手にもなり得ます。
まとめ
外国人材が長く働く会社と、短期間で離職が続く会社の違いは、採用力ではなく受入れ体制にあることが少なくありません。
・採用した後にどのような環境を用意するか
・どのようなコミュニケーションを取るか
・どのように成長を支援するか
そうした積み重ねが定着成功の成果として表れてきます。
これから外国人材の活用を考える企業にとって重要なのは、「誰を採用するか」だけではなく、「どう迎え入れるか」を考えることかもしれません。
制度の活用を検討されている企業様、外国人材との関係を上手く築けていない企業様は、採用だけでなく受入れ体制や定着支援についても併せて確認してみてはいかがでしょうか。
免責
※本記事は執筆時点で公表されている法令、制度、行政機関等の情報をもとに作成しています。制度内容や運用は変更される場合がありますので、最新情報は出入国在留管理庁、厚生労働省その他関係機関の公表情報をご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件に対する法的助言、行政手続きの代理、その他専門的判断を提供するものではありません。実際の手続きや制度運用にあたっては、行政書士、社会保険労務士その他の専門家へご相談ください。